俳句ing
2003.11.18
 
     

















  鎌倉にある恋のお墓

  「杜(もり)」は神社のこと。何年も前のこと、付きあっていた男と鎌倉の鶴岡八幡宮に初詣出に行った。カレは買ったばかりの一眼レフを持ってきた。
  太鼓橋を渡ったのは覚えているが、おみくじを引いた覚えがない。なにはなくとも神社に行ったらおみくじという私だが、たぶんその日は運勢など占いたくなかったのだろう。カレには臨月の奥さんがいた。一眼レフははじめての子どものために買ったのだ。そのくせ、
「このカメラでいちばん最初にキミを撮るんだぞ」なんて言って私を喜ばせようとしていた。喜ばなかったけど。
  夜、横浜駅で東横線に乗るカレとJRに乗る私は別れた。
「今度は洋服で来るんだよ」
  カレが耳元でささやいた。その日、私は着物でそれだとホテルに行けないからだ。もう遅いから駅からタクシーに乗るようにとカレが五百円札(当時はあった)を一枚くれた。あとでよく見たら半分に折った間に高速道路の半券がはさまっていた。奥さんの実家のある千葉までの高速券だった。
「確かめてから渡せよ」そう思いながらちょっと泣いた。
  横浜生まれの横浜育ちだと言うと、つきあう男はみんな横浜や鎌倉を案内してよと言う。山下公園はいいが、男と鎌倉に行くのは要注意だ。鶴岡八幡宮にカップルで行くと観音様がヤキモチを焼いて別れることになるという言い伝えがある。
  都内では井の頭公園(吉祥寺)の池のボートも二人で乗ると”別れる”という伝説がある。そのカレとは、鶴岡八幡宮にも井の頭公園にも行った。ほかにも鎌倉にドライブしたり、井の頭公園でボートに乗ったカレ(同一人物でない)がいたが、すべて別れた。結婚前の夫とも鎌倉には行ったが海だけだったのでセーフだったようだ。
  兵庫県の宝塚ファミリーランド(もうない?)も別れの名所だと聞いたことがある。全国には、デートスポットにもかかわらず”別れの名所”にもなっているところがけっこうあるのだろう。とりあえず私には、鎌倉と井の頭公園にあわせて四個くらい恋のお墓がある。みなさんは日本のどこに何個、恋のお墓がありますか?
 
 
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